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2008年5月21日 (水)

中国の大地震のニュースの中で

 中国四川省での大地震の記事を新聞で読み続けているが、当然のことながら、胸が痛む話が多い。こんな大規模な自然のカタストロフは人類の歴史が始まって以来、なかったのではないか。
 もちろん、広島・長崎での原爆投下による被害はこの比ではないが、それは人為的なカタストロフである。

 そんな悲劇的ニュースをのなかで、心が動かされる話に出会った。日本から派遣された救助隊(日本国際援助隊というらしい)のニュースである。おそらくは、詳報はないが、派遣された彼らも面食らうほどの被害の甚大さと、情報の錯綜と、言葉の壁などが多々あったに違いない。にも関わらず、彼らは、献身的に救助に当たったことは、送られてくるニュースで知ることができる。


 心が動かされたのは、その献身的救助振りについてではない。そうではなくて、「その献身的救助振り」を目の当たりにした中国の人々やメディアが、日本の救助隊に対して、心から感謝している、その様子をニュースで知って心が動かされたのである。
 日本の救助隊が救出した被害者はいない。十数人の遺体を瓦礫の下から搬出しただけであった。その中に、「母と赤ん坊」の遺体があった。やっとの思いで見つけ出したもののすでにこと切れていた母子の遺体を前に、救助隊員は全員が整列して黙祷を捧げたのだった。その模様はメディアによって撮影され全土に報じられたのだが、中国の人々はこれにいたく感動したらしい。

<中国人民は、この恩を絶対に忘れない>
 と、いろんなブログが書き記し、同様の感想がニュースで報じられている。それを知って、私はいささか心を動かされ、それはそうかもしれない、と思ったのだった。
 
  国と国との付き合いにはいろんなレベルのものがある。政治的・外交的関わり合いもあれば、文化的・学術的交流もある。しかし、日本の国際援助隊が中国国内で行った活動は、そのようなレベルには属さない。表面的には、隣国の窮状に手を差し伸べるという、政治的関与なのだろうけれど、今回のこの一件を見て、これはそんなものではなくて、もっと人の心の奥深いところで作用する「交流」なのだと思ったのである。
 数十人の隊員は、紆余曲折はあったものの、いち早く現地に駆けつけ、まさに身を削るようにして救助にあったった。政治家はよく、「汗を流す」という言葉を使って「奮闘努力する」ことを表現するが、そんな空疎な表現ではなく、隊員たちは文字通り、「汗も涙も流し」て隣国の被災者を必死で、助けようとしたのである。ただ、数千億円の援助金を送るだけ、というのとは分けが違うのである。

「まさかの友こそ、真の友」ということわざがある。自分が窮地に陥ったときに、篤い友情を示してくれる友こそ、真の友と呼ぶにふさわしい者なのだ、という意味だが、国と国、国民と国民との関係も同様なのだな、と思わざるを得ない。必死になって自身の肉体を酷使するようにして尽くしている日本の救援隊の様子を注視していた中国の人々は、おそらく本当に「このことを一生忘れないだろう」と思う。
 
  そして、中国の人々が、おのずと、そのような感情を抱くようになってしまった我が国の援助隊の活躍に対して、一人の日本人として「どうもご苦労様でした。ありがとうございました」と頭を下げたくなるような気持ちさえ、しているのである。

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コメント

ひとりっ子対策で、各家庭において大切に大切に、
たくさんの期待とともに育てられた子どもたちが
亡くなったことを思うと、余計に心が痛むのです。

投稿: もぐら | 2008年5月23日 (金) 02時55分

今日のニュースで、「被災地では、一挙に4000人の孤児が生まれた」と報じていました。中国では、何事であれ、スケールが大きい。それがどういう事態なのか、すんなりと理解できないほどです。いずれにせよ憂慮に堪えません。ところで、ニュースを見ていて気づきましたか? 被災地で、弟を悼んで紙銭を燃やす姉の様子や、妹を抱いて病院に走る兄の映像がニュースで流れていたことを。先日、中国人のジャーナリストと食事をしたのですが、その時に彼が言うには「一人っ子政策なんていうのは都市部だけの話。地方では、そんなこと誰も守ってはいません。5,6人子どもがいる人もいます。第一、農村で、成人した男女2名から一人の子どもしか誕生させてはいけない、なんてことを守っていたら、すぐに労働力不足になってしまいます」。なるほど、そりゃ当然だと納得しました。

投稿: もぐらさま 路傍より | 2008年5月23日 (金) 12時43分

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