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2008年5月15日 (木)

旨い店にめぐり合う方法

 アンケートで思い出したけど、以前、料理雑誌からのアンケートで「いい店の条件とは」というお題をいただいたことがある。その返答に、
<トイレが汚い店に旨い店なし!>
  と書き送ったところ、すぐに編集部から電話がかかってきて、「それはいったいどういう意味なのか? インタビューしたい」と所望されたので、ライターの方にお会いして思うところを述べたことがあった。
  どういう意味もこういう意味もないのである。ただ一言。「出口のことを真剣に考えている店は、入り口のことも大事に考えている」ということである。

  戦後の英国の社会福祉政策のスローガン、「揺り籠から墓場まで」にならって言えば、「口唇から肛門まで」である。口唇から肛門までは、非常に長いけれど、1本の管でつながっている。食物はこの管の、長い旅路を歩むのだが、その過程で、食物の摂取者にさまざまな快感と恩恵を施す。入り口では味覚に快感を与え、中ほどでは実質的な栄養を施し、出口では、うーーん、出口では、いさぎよい退出によって摂取者に別種の快感を提供する。
  出口での配慮が行き届いている店は、入り口における気配りもなかなかのものなのである。
  つまり、そういうことである。
  だから、その店がいい店かどうか、旨い店かどうかは、メニュを見る前に、便器を見ればよろしい。足元がじくじく濡れていたり、便器の中が清潔でなかったり、便座の裏に何やら怪しいものがくっついていたり、トイレット・ペーパーが安っぽいものだったり、化学的な臭気芬芬の消臭剤が置いてあったりした場合には、用を足した後、「ちょっと用事を思いつきました」といって、店を出てしまえばよろしい。長居は無用である。

  この知見は、数多くの失敗とコンフリクト(自慢じゃないが、店屋での狼藉は普通の人よりはいささか多い。何しろ腹が減っているから、すぐに暴れてしまう)の末に、我が物とすることができた。
  先日、机の周りを整理していたら、このインタビュー記事が載った雑誌がたまたま現れた。「料理王国」の、その記事にはこんなことが書かれている。我ながらいいことを喋っているじゃないの、と思ったので、記しておきたい。

<それから、こんなことは誰も言わないでしょうから、この際僕が言っておきます。「トイレが汚い店に旨い店なし」。独断的ではありますが、トイレがきれいな店は「旨い店」です。「出口」について細やかに配慮する店は「入り口」に関しても完璧なもの。タバコの煙が充満している店もダメですね。そんな店に行くのは時間とお金と胃液のムダです(笑)。
 結局、レストランは人と人との関係。店と客とは、ボルトとナットの関係みたいにひとつじゃ成立しない存在です。料理人、サービス、客とでよりよい関係を作っていくのが「いい店」「いい客」を育てることになるんじゃないかと、僕は思います。>

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