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2008年7月17日 (木)

韓国国民の握りこぶしと竹島

  文部科学省が、このほど、中学社会科の新学習指導要領解説書に、竹島を日本の領土として明示したものだから、韓国国民の間では大反発が起きている。

  韓国政府は「深い失望」を表明し、抗議の意思を表明するために駐日大使を召還。そればかりか、一般市民は、ソウルの日本大使館前に集結し、「独島(竹島の韓国名)は韓国固有の領土である。けしからん!」と、まなじりを決して、抗議のシュプレヒコールを続けている。

  その様子をTVで見ながら、ああ、韓国の人々は立派な国民だなあ、という思いにとらわれた。そして、日本の「竹島は日本の領土」表明に対して、激しく反発してみせる韓国国民の、そのような態度そのものが、我々日本人に「自国の領土を明確に闡明すること」の重要性を教えてくれている、と実感したのである。

  考えてみて欲しい。猛反発する韓国のその態度が気に食わない、といきり立ち、広尾の韓国大使館前に集まって、「ふざけるな、竹島は日本の領土である」と叫ぶ日本国民がどれだけいたかを。もちろん、右翼の方々は日本各地から馳せ参じて抗議運動を繰り広げたに違いない。しかし、私が言っているのは一般の日本国民の話である。すくなくとも、そのような日本国民がいたことをTVは報じていない。

  もっと言うならば、今回の一件に関しての、一般の日本人の反応はおそらく、「また韓国人が熱くなってるよ。たまらんなー。そんな小さな島のひとつやふたつで大騒ぎすんなよ」といったものだろうと思う。日本海に浮かぶ、この小さな島に対する二国間の国民の温度差はいったいどこから来るのだろうか?

  誤解をおそれずに言えば、それは、いつにかかって「教育」に由来すると思う。文科省が学習指導要領で竹島問題について言及したことがニュースになるくらいに、日本の教育の現場では「現代日本の自国の領土」に関する問題は等閑視され続けてきたと言っても過言ではないだろう。

  それは、戦後の教育において顕著な傾向であった。アジア各地への進出と植民化は敗戦によって全否定されたわけだが、その後、日本国が日本の子供たちに施した教育は、まずは自身の過去の行為の全否定から始まらざるを得なかった。当然のことながら、竹島であれ、北方領土であれ、自国の領土についての声高な主張など、教育の現場には登場するはずもなかったわけである。

  だが、韓国は違う。なにしろ一度は植民化された国である。自国の領土を侵略されたり植民化されたりすることの悲哀は、過去何千年の歴史を通じて、骨身にしみて知っている。だからこそ、次代を担う子供たちに対して、その屈辱の歴史を徹底的に教え、二度と再びそのような境遇に自国を置いてはならぬ、と強く教え諭したはずである。自分が韓国の為政者なら、間違いなくそうしたと思う。

  その彼我の差が、今回の一件に対する反応の違いに現れている、と思う。産経新聞によると、韓国は、竹島に警備部隊を駐留させ、電話線を引き、住所を与え、ご丁寧に郵便番号まで付しているという。必死である。領土を奪われることに対する、ほとんど恐怖心といってもいいほどの感情が彼らの心のうちに渦巻いているのだと思う。そのメンタリティは、2百数十年、鎖国という環境下でノー天気に暮らすことのできた民族とは根本的に異なっているんだろうとも思う。

  そして、国家や国土や国民というものは、そのように厳しい決意と覚悟がなければ、なかなか維持しがたいものなのではなかろうか。少なくとも、韓国や中国や北朝鮮や、中東の各国の指導者の面構えと主張に耳を傾けているとそう思わざるを得ないのである。

  戦後半世紀にわたって、我が国は、国旗掲揚どころか、国家斉唱にも、愛国心の涵養にも、意を払ってはこなかった。意図してそうしてこなかったのである。国土と国民の安全維持というものが、いかに血のにじむような努力の末にもたらされるものなのか、ということについても、誰も、大きな声で語ってこなかった。そのような主張は、全く受けなかったからである。

  さすがに半世紀が経過して、自国周辺の様相を鑑みて、このままではまずいのではないか、と為政者の方々も感じ始めたに違いない。だからこそ、文科省は今回の挙にでたのであろう。しかし、おそらく政治的な思惑が大きく働いたに違いない、文科省の文言は歯に物がはさまった、というよりは物に歯がはさまったような、ふがふがした物言いである。

  どうふがふがしているか? こんな具合である。

  <我が国が正当に主張している立場に基づいて、当面する領土問題や経済水域の問題などに着目させたりすることも大切>
 
  とし、竹島をめぐって、

  <韓国との間に主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要>
 
「竹島は我が国固有の領土である」というフレーズを登場させることなく、婉曲にそのことを伝えようとしている。中学生も、社会科の時間にはつくづく困惑するだろう。「こんな風な物言いしかできないということは、ひょっとして、竹島はやっぱり韓国の島なんじゃないの。もし、日本の島なんだったら、もっとはっきり、自国の領土だ、って書くもんね、教科書は。なんか、やっぱり、後ろめたいことがあるんじゃないの?」
 
  ソウルの日本大使館前でこぶしを振り上げる韓国国民を見ていると、日本もはやく世間並みにならないと、そのうち「九州も韓国の領土だ」「北海道はそもそもロシアの領土だ」と迫られるようになるに違いないと、額の汗をぬぐいつつ、ひとり物思いにふける暑い夏である。

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