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2009年6月17日 (水)

CHANELと「津軽」、そして「マレー戦記」

● 15日、銀座で、ミッキー・ローク主演の映画「レスラー」を観る。生理的にも痛い映画である。喝目すべきは、ストリッパー役のマリサ・トメイ。四十数歳の、悲しみが滲む肉体を惜しげもなく晒し、かつ情感溢れる演技を見せる。彼女に匹敵する日本の女優を挙げることができない。アメリカの役者の層の厚さを思う。

● 16日、代々木体育館でCHANELの秋・冬物のショーを見る。さすがに世界のトップブランドだけあって、ファッション関係のジャーナリストの主だったところが勢ぞろいする。逆だな。ここに勢ぞろいした方々が、日本のファッション・ジャーナリストの代表格である、というべきか。10年以上この手のイベントに出席していると、たまに会う皆さんが、少しずつ年老いていることが分かる。なんだか、すこし悲しい。とともに、ブランド・ビジネスの底が抜けてしまった現在、今後どのようなビジネス・モデルを彼らは描こうとしているのか、と複雑な思いでショーを眺める。服そのものはあいも変わらず、シャネルである。

● 17日朝9時。三鷹の太宰治文学サロンで元NHKアナウンサーだった山根基世さんの朗読を聴く。朗読したのは太宰の「津軽」。プロの朗読というのはこういうものか、と驚かされる。マイクを通さない、山根さんの語りを聞いていると、朗読で重要なのは「間合い」「呼吸」なのだな、と分かる。面白いのは、朗読しながら体がゆらゆらと揺れること。ピアニストやバイオリニストが演奏中に身悶えするように、体が動く。なのに「力み」はどこにもない。

● 最近はまっている戦記物を読み次いでいる。読了したのは河出書房から昭和42年に刊行された「マレー戦車隊」(島田豊作・著)。現在のマレーシアにあたる「マレー」の北部に上陸、シンガポールに向けてイギリス軍、インド軍らと死闘を続けながら捨て身で南進する島田戦車隊の戦いぶりがヴィヴィッドに描かれている。アジアン・リゾートと呼ばれてお気楽なリゾート地として紹介されるアジアの各地で、筆舌に尽くしがたい日本軍の血みどろの戦いが繰り広げられていたことを知ると、なかなか心安らかにリラックスできるものではいな、と思う。

● 続けて、昭和17年、朝日新聞社より刊行された「マレー戦記」(酒井寅吉・著)を読む。酒井氏は朝日新聞記者。従軍記者である。戦中の刊行であるため、国民の戦意を萎縮させるような話は全くない。その手の話は全くないものの、同僚の従軍記者の戦死場面などが描かれると、その場から逃げ出したくなるような、厭戦気分がにじみ出ている。興味深かったのは、日本軍兵士の中にあった、英軍の決死の斬り込み隊に対する崇敬の念。死を覚悟して攻め込んでくるは白人兵たちを全滅させた後に、「実に騎士道魂とでも呼ぶべきものがある」と丁寧に弔ってやるシーンには感動する。

    日本兵の玉砕覚悟の攻撃について。読んでいると、玉砕攻撃の背後には「生きてこのまま過酷な死闘を続けるよりも、いっそ死んだほうが楽でいいや」というようなカジュアルな感覚が兵士の間に醸成されていたことが分かる。なるほど、そういう感覚だったのか、と納得する。

  もうひとつ。兵士の背嚢などにマスコットなどがぶら下げられていたという事実。まるで、携帯ストラップみたいだなと思う。ノラクロなんかがぶら下がっていたのだろうか?

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コメント

羽田から本日夜出発。P3駐車はし無い事に。用事があるので、日中はコロコロを引いて町を歩く予定。そのような事が前にもあり、青山でお茶をしてびっくり。何人も同じようにコロコロを引いた人がいる訳です。みなさん出張前に忙しいのだなと?でも何か変。私とは違う。前ブログのコメントでした。シャネルのコメントは控えます。

投稿: ただの不良 | 2009年6月18日 (木) 07時58分

そうですか、コロコロバッグの女の子の遭遇されましたか。あれは実に奇妙なものですね。来月あたりにお食事でもご一緒できれば幸いです。夏ばてにご注意下さい。

投稿: 女不良さまへ 路傍より | 2009年6月19日 (金) 13時17分

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