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2010年2月 7日 (日)

デイブ・ブルーベックに酔う

 
    良く晴れた冬の日曜日。空は青く透き通り、冷たい風が耳たぶを引きちぎっていく。

  本日も7時前に起床。いつものごとく朝風呂につかって読書。そののちに朝食。トーストと紅茶。紅茶はダージリンのセカンドフラッシュ。トーストにはバターと蜂蜜を塗り、その上にシナモンをちらす。

    そしてヨーグルトに牛乳を入れてよくかき混ぜたもの(ラッシーみたいな感じですね)をごくごく。ついでにバナナとみかんを食べながらゴルフネットワークで石川遼の活躍を見守る。USPGAのノーザントラスト・オープンを堂々の予選通過。18歳である。

    テレビを消して洗濯をし、洗濯物を室内に干し(もう花粉が飛び交っているので外には干せないのだ)、掃除に取り掛かる。マキタの充電式掃除機でほこりを吸いまくる。コードがないので実に便利。

    目に見えるほこりを吸い取った後に、花王のクイックルでフロアを拭く。しかるのちに2箇所のトイレ掃除。便器をコキコキと磨き、トイレクイックルでごしごし素手で磨く。きれいになると気持ちがいい。

    掃除を終えてもまだ10時半。車に乗って散髪に出かける。店に入ると「今日は寒いねえ。風も強いし」とオヤジが言う。前回も同じようなことを言っていた。「知ってるよ、そんなことは」と前回は思ったが、もうそう思うことはやめて「そうですね」と大人らしい返事をする。

    髪の本数が少ないせいなのか、待っている客が多いせいなのか、散髪はすぐに済む。駐車場から車を引きずり出して、クリーニング屋へ行き、シャツをピックアップ。

    このクリーニング屋のおばちゃんには世話になっている。シャツのボタンが取れると、「ボタンが取れた」といって、付けてもらう。紀尾井町のヒシダボタン屋でワイシャツのボタンをしこたま買ってきて、このクリーニング屋に無理やり預かってもらい、それをつけてもらうことにしている。

    しかし、親切で付けてもらっているのにこんなこと言って申し訳ないけれど、付け方が雑である。愛がこもっていない。しょうがないか、愛なんか最初からないんだから。

    クリーニング屋のお次はヴィクトリア。タイヤのチューブみたいなトレーニング用のラバーを買う。ゴルフでテイクバックからダウンスイングに入る始動の際に右ひじが浮くフライング・エルボーの癖があり、ボールがスライスする。これを矯正しようという考えからである。

    13時。腹が減ったのでサミットの2階にある「カフェレストラン たか」という殺風景なレストランに行く。店内は愛想のかけらもないが、ここのスパゲッティナポリタンとドライカレーはうまい。しかも安い。しかしいつも同じものなのも芸がないなと思い、お店の女の子に「一番注文の多いのはどれ?」という大雑把な質問をする。

    回答に従って「豚ばら肉のしょうが焼き」とライスを注文。ダイエットをしているのにこんなもん食っていいのだろうか、と一瞬思うが、思いながら全部食ってしまう。この店の女の子(数人いるが)はみんな美人である。店のおじちゃんもおばちゃんも全然そうでないのに、どうしたわけかといつも不思議に思う。

    さあて、腹ごしらえもできたからイトウ・ゴルフガーデンに行って練習でもするか、と立ち上がった途端に、古本屋へ雑誌を売りに行かねばならないことを思い出す。しかも前回持って行った古本の代金500円ももらい損ねていることに気付く。

「ナショナル・ジオグラフィック」を3年分ほどと椎名誠の単行本10冊ほど、ダン・ブラウンの小説上下などを「古書上々堂」に持ち込む。紙袋4つに分けて持ち込んだ「ナショジオ」を見て、店主は「ああー、もう売れないんだよね、ナショジオ・・・」と実に迷惑そうな顔をする。

    その顔を見ているうちに実に実に自分は空しいことをしているという気になり、「お金はいらない・・・」と言い捨てて店外に出、さっさと車に乗り込んでゴルフの練習に行く。5時まで3カゴ打ちまくる。石川遼よりもずっと早くゴルフを始めたのに、まだアメリカのトーナメントに出られないでいる自分が悲しい。

    5時。三鷹産業プラザの駐車場に車を入れ、カフェ・ハイ・ファミリアに行く。店のドアを開けるとすぐ目の前にコウダテ君がいて原稿のチェックをしている。私は週末にしかこの店に来ないが、コウダテ君はこの店を自分の食堂代わりにしているからいつもいる。よって、かなりの確率で遭遇することになる。

    コウダテ君との会話は楽しい。これといって核になる話があるわけではないが、コウダテ君は「面白く話しをする」という天性のサービス精神があって、いつまでも話を聞いてしまう。ふと気がつくと3時間近く話をしていることがあって驚く。

    今日は、今すっかり気に入ってしまっているCD、デイブ・ブルーベックの「LOVE SONGS」を店に持ち込み、店主に「これをかけて」とお願いをする。「え、大丈夫ですか、これ?」と不安な表情を見せる。きっとろくでもない音楽だと思ったに違いない。

「大丈夫、素敵なジャズ・ピアノだから」と安心させる。今度、三上寛でも持ってきてやろうか。このアルバムがいかに素晴らしいかを、コウダテ君に一生懸命説明する。百言は一聴にしかず。店内に流れるメロディを指差しながら、「ほら、この曲。オードリーっていうんだよ。オードリー・ヘップバーンに捧げる曲。いいでしょ。最後の曲がベサメ・ムーチョ。もう、たまんないねえ、この感じ」と、中味ない会話をし続ける。

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    深夜1時の高速道路で、暗闇の中を疾駆しながら聴く「 dave brubeck  love songs 」は、今、生きてこの世にあることを思わず感謝してしまうほどの喜びと、それと同じほどの悲しみに満たされた、極上の快楽である。夜空の中に身を溶け込ませて消失してしまいたくなるような、たまらない気持ちにさせられる。まるで酔っ払ったような気分に襲われる。

  デイブ・ブルーベックを知ったのは、数年前、CATVでクリント・イーストウッドが作ったドキュメンタリー映画「ピアノ・ブルース」を観たときだった。イーストウッドが自身が敬愛するピアニスト(そのほとんどはもう老人である)を尋ねてその演奏を聴きながらインタビューするという趣向のものだった。

  そこに、すでに80歳を過ぎたブルーベックが登場。横にイーストウッドを座らせて、静かにある曲をひきはじめた。すでに老いて、往年の指さばきはもはやない。一音一音を慈しむように穏やかに、しかし情感をこめて奏で始めたのである。

  すぐに彼の演奏の虜になった。そのリリカルで悲しみに彩られたメロディが脳裏から離れなくなった。その曲が「オードリー」だった。

「オードリー」はこのアルバムの7曲目に収められている。そして最後に収められた「ベサメ・ムーチョ」がこの上なく、素晴らしい。我々が知っている「ベサメ・ムーチョ」とは全く異なる「ベサメ・ムーチョ」がここにはある。

  運転中にこれを聞くと、壁に激突して死んでも、もうかまわないかな、という気にさせられるから恐ろしい。

  聞いてみてください。

http://www.youtube.com/watch?v=lGGucwpHdK4&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=P_a2f9HI2JI

  というわけで、このブログはカフェ・ハイ・ファミリアでアルバムを聞きながら書きました。

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コメント

You Tubeのデイヴ・ブルーベック、おしゃる通り、感動的でした。

http://www.youtube.com/watch?v=w2s0yJF5dYc

ただ、お目にかかった時、「デイヴ・ブルーベック オードリー」で検索をかけろ、と言いましたよね。
ご指示にしたがったら、お笑いのオードリーの画像ばかりでした。

投稿: | 2010年2月 7日 (日) 22時56分

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