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2010年3月18日 (木)

美人女医とイボ

 会社の同僚に、会社の近所にあるA医院(皮膚科)の女医さんが美人であることを教わった。一緒に昼ごはんを食べているときに、その同僚が言うのである。

「いやあ、最近ちょっと会ったことがないくらいの美人ですね。こんなお医者さんがいるのかというくらいの。診察室で緊張しちゃいますよ。歳? うーん、30代半ばくらいですかね。身長? 160センチくらい。中肉中背ですね」

  焼き魚定食をつつきながら一生懸命説明してくれる。なんでも、指先の爪が曲がって痛くなったのでその病院に行ったらしい。

「ふーん、それじゃあ、ちょっと顔を見てこないといけないなあ」と私。

  しかし、特に皮膚科に用事のあるような不具合もない。何かないかと、トイレの鏡で自分の顔をしみじみ見てみると、おお、ほっぺにイボがあるではないの。右眉の横に、なんだかセメダインがくっついて乾いたみたいになっちゃってるものがあるではないの。

  よーし、これだ。「ちょっと、おれ、病院に行ってくるから」と同僚に告げると、「えー」と呆れた顔をしている。バカモン、界隈では珍しい美人だと言ったのはお前だろうが。

美人先生の診察日は月曜日と木曜日。それ以外の曜日は、年配のがさつなオバハン先生らしいので、曜日をかんがえて行かないと全くのムダ骨ということになる。

    月曜日、病院に行くと、待合室に患者がたまっている。なんだか中高年の男性が多いように思える。もの好きなやつが多いもんだ、と一人ごちながら順番を待つ。一体、どんな美人なんだろうと、期待に胸が膨らむ。

    いったい、オレは仕事をさぼって、何をしてるんだろう、という自省的思慮もときどき脳裏を走っていく。

    順番が来ました! 診察室に入ると、いました、美人先生。確かに年のころは30半ば。スレンダーである。皮膚科だけあってきれいな肌をしている。お化粧もやや濃いような気がする。

「どうされました?」
「はあ、顔にイボが・・・・。あ、おでこにもなんか変なものが・・・・」
「ちょっと、よく見せて下さい」

  といいつつ、先生はルーペを手に顔を近づけて、私のほっぺをまじまじと見つめる。おおおおお、見ず知らずの女性の顔が、こんな近くに! 鼻息がかかるほどの距離ではないの。ベロをびろーーーんと出せば、先生のほっぺを舐められるかもしれない、などというその辺のエロ・オヤジのような妄想が芽生えてくるのを、理性が抑える。

  そんなことしたら、明日の朝刊に、史上最低のベロオヤジとして名前が出てしまうぞ、と自分に言い聞かせていると、先生が突然、

「あ、これは老化ですね。老化でできるイボです、これは。取っちゃいましょう」
「え、取っちゃうんですか?」
「いやなんですか? 取るの」
「いえ、取りたいです。でも、痛くないですか・・・・?」
「大丈夫。幼稚園児でも泣きません」
「あ、そうですか。じゃあ、大丈夫ですね」

  液体チッソなのかなんなのか、チリチリと冷たそうな気体を上げる容器に浸した綿棒のようなものでイボをツンツンしていく。低温で焼くのだろう。

  治療は数分で終了。痛くなかった。

「これで、終わりです。また2週間後に来て下さい。そうね、再来週の金曜日にいらっしゃって下さい」
「ええー、金曜日ですか?」

  先生、金曜日はがさつなオバハン先生が担当の日じゃないですか。同僚に聞いたけど、オバハン先生はとても乱暴で痛いそうですよ。先生は、そこに僕を追いやろうというんですか? ぼ、僕のこと、嫌いなんですか?

  なんてことはとても言えないので、

「すみません。金曜日はちょっと用事があるので木曜日でお願いします」

  軟膏も手にして、A医院を辞したのだった。

  美しき女医センセ。うむ、なかなかいい響きである。

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