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2010年5月 2日 (日)

「お疲れさまです」

  最近、「お疲れさまです」という言葉をよく耳にする。

  たとえば、出先から職場に電話をしたとき、こちらが名乗ると、電話を受けた若い女性が「あ、お疲れさまです」とすぐさま、応じる。

  たとえば、夕方、道で職場の女性とすれ違うとき、「お疲れさまです」と彼女はにこやかに会釈してくれる。

  たとえば、職場に部下を残したまま、自分が先に帰宅するとき、「お先に」とみんなに声をかけると、すかさず「お疲れさまでした」という声がかかる。

  この風習はここ10年ほどのことだと思う。私が会社に入った頃には、もちろんこんな使用法はなかった。

「お疲れさまでした」の声をかけられる度ごとに、なんだか妙な違和感を感じるのである。

  なぜだろう、と考えていたのだが、たぶん、こういう次第で違和感は生じてくるのだと思う。

  そもそも、「お疲れさま」というのは、目上の者が目下の者を慮って吐く言葉なのである。雇用者が被雇用者に対して、社長が部下に対して、ラーメン屋の店長がアルバイトの学生に対して、監督が選手に対して、「よく頑張ってくれたね。ご苦労さま」というねぎらいの意味を込めて「お疲れさま」という声をかけるのが本筋なのである。

  だからなのだと思う。若い男女から「お疲れさまでした」と声をかけられると、「あなたにそう言われる立場にはない」と偏屈な感情が湧いてくるのである。素直じゃないね。

  その言葉をカジュアルに使っている当の若い人たちも、うすうすそのことは感じているのではなかろうか。だから、目上の人に対しては「お疲れさま」と言い放つだけではなく、そのあとに丁寧語の「です」を付けて、気持ち悪さを解消しようとしているのではないか。

  そう愚考するものの、本当のところはよく分からない。

  言葉はヴァイタルな生き物だから、私が感じる、この「気持ち悪さ」など全く無視しつつ、したたかに、繁殖していくのだろう。そしてそのうちに、誰も違和感など感じなくなる日がやって来る。

  

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コメント

電話をかけてまず名乗り、先方がいないとと「お世話さまです」と返事がある。 社内外問わず、本人以外のひとが電話をとるとこのことばが出てくる。 かつては、「まいど(ありがとうございます)」がまず普通の表現だったように思う。 「お疲れさまです」と同様、この10年くらいの間に、若い人中心に広まった表現ではないだろうか? このところ、入社すぐの研修では、「マナー研修」と評して、挨拶の仕方を叩き込む会社が多いと聞いている。 「お疲れさまです」も「お世話さまです」もある世代からマニュアル的に出てくるところからして、誰かが意図的に流布しているということはないでしょうか?

投稿: パリ時代の友人 | 2010年5月 2日 (日) 22時58分

なるほどなあ、そういうこともあるかもしれないねえ。「会社でのマナー研修」と称して、ある時期から組織的に叩き込んだのかも知れないねえ。あるいは、テレビの影響もあるかも知れない。ドラマやワイドショーなどを見ていると、よーく「お疲れさまです」という言葉が飛び交っているからね。それを観て、ああ、こういうときはこう言うんだな、と学んだのかも知れない。ここ10年くらいの風潮のような気がしますね。

投稿: SUDA様 路傍より | 2010年5月 3日 (月) 19時06分

私は秘書部で「おつかれさまでございます」と役員に言え、と習いましたよ!ご苦労さまです、は目上の人が目下のものに対して使う言葉なので、絶対に口にしてはならんとも。間違っているのですか?

投稿: たぬき | 2010年5月10日 (月) 20時24分

うーむ。たぬきさんの言うとおりかも知れませんね。秘書部でそのように教育されたのなら。でも、私が会社に入った時代には「お疲れさまです」も「お世話さまです」も「ご苦労さまです」もなかったんだよね。いつからこういうことになったんでしょう。「お疲れさまです」といわれて気色悪いのは私固有の反応なのでしょうかね?ひねくれものだから。

投稿: たぬき様 路傍より | 2010年5月11日 (火) 13時04分

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