« Sさんの墓参りに | トップページ | 同窓会へ »

2010年6月 8日 (火)

鳩山由紀夫元総理の「国民の皆さま」主義

  
    鳩山由紀夫という人の喋りはどうにも気色が悪いなあ、と思ってテレビを眺めていた。案の定、先ごろ、首相の座を投げ出すことになってしまった。

  何が気色悪かったのか、新聞記事を読んでいて分かった。記事は6月2日の朝日新聞夕刊。4版の3面に鳩山首相の議員総会での発言要旨が320行という長さで掲載されているのだが、これをつらつら眺めるうちに、ああ、これが気色悪かったのだと納得した。

  それは、言ってみれば「国民の皆さま」主義とでもいうべき、過度のへりくだり的言辞の多用で、慇懃が過ぎて無礼になるが如く、へりくだりが過ぎて「上から目線過ぎんだよ」に成り果ててしまっていたのである。

  まあ、その生育環境を勘案すれば、「皆の衆よ」と語りだしたくなるのも分からないではない。その臭さを打ち消すためにご本人は必死だったに違いないが、必死になればなるほど、気色悪さが募るばかりであったのだ。

  では、記事の320行中、「国民の皆さま」主義がどのようにはびこっているかをお目にかけよう。「皆さま」「皆さん」等が登場するフレーズのみを拾ってみると、こんなことになるのである。

<お集まりの皆さん、ありがとうございます。そして国民のみなさん、本当にありがとうございました。国民の皆さんの、昨年の熱い夏の戦い、その結果、日本の政治の歴史は大きく変わった。国民の皆さんの判断は決して間違っていなかった。>

<・・・・それも国民の皆さんのおかげだ。
  政権交代によって、国民の皆さんの暮らしが必ずよくなる。その確信のもとで、皆さん方がお選びいただき、私は・・・・その職を行ってきた。皆さん方と協力して、日本の歴史を変えよう。・・・・国民の皆さんが主役になる政治を作ろう。>

<国会議員の皆さんと一緒に、国民のための予算を成立させることができたことを誇りに思っている。>

<・・・医療費をわずかだが増やすことができたのも国民の皆さんの意思だと思っている。>

<・・・しっかりした仕事が、必ずしも国民の皆さんの心に映っていない。国民のみなさんが徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった。>

<沖縄のみなさんにも、徳之島のみなさんにもご迷惑をおかけしている。>

<・・・沖縄にご負担をお願いせざるをえなくなった。そのことで沖縄の皆様方にもご迷惑をおかけしている。>

<いまここは日米の信頼関係を何としても維持させていかなきゃならない・・・・、ぜひ皆さんにもご理解を願いたい。>

<・・・・もっとお金にクリーンな政権を作らなければ、国民の皆さんは政権に対して決して好意を持ってくれない。>

<・・・議員の皆さん方に大変なご迷惑をおかけしてしまったことを本当に申し訳なく、・・・・皆さまがたもさぞご苦労され、お怒りになったことだと思う。>

<皆さん、いかがでしょうか。>

<とことんクリーンな民主党に戻そうじゃありませんか、みなさん。>

<必ずそうなれば、国民の皆さんが新たな民主党に対して聞く耳を持って頂くようになる。・・・私たちの声も国民の皆さんに届くだろうし、国民の皆さんの声も、私たちにストンと通る新しい政権に生まれ変わると確信している。>

<何を言っているかわからんよと、そのように国民の皆さんにあるいは映っているのではないか。>

<地域の皆さんが思い通りの地域をつくることができる。>

<皆さん方が主役になって、本当に国民が主役になる。>

<議員の皆さん、・・・・官僚の独占した社会ではなく、できるだけ民が、国民の皆さんができることをやりおおせるような社会に変えていく。>

<必ず皆さんの連携の中で、よしわかった、と理解していただける国民の皆さんの気持ちになっていけると、私はそう確信している。>

<・・・国民の皆さんの未来というものをしっかり見つめ合いながら、・・・・皆さん耐えながら、そして国民との対話の中で新しい時代をつかみとっていこうではありませんか。
大変ふつつかな私だったが、・・・・皆さんとともに・・・歩ませていただいたことに、心から感謝を申し上げながら、私から国民の皆さん、特にお集まりの皆様方へのメッセージといたします。>


  どうです、なかなかのもんでしょ。書き写していると、言葉の空疎さが身に染みるのである。心に届かない言葉の連続に身悶えしそうになるのである。

  途方もない混迷を続ける政治の季節の中で、誰がその任を負うても、容易に運営することなどはなはだ困難に違いないとは思うものの、次の総理は、せめて訴えかける言葉だけでも明晰で聴者の心に届くものであって欲しいと切実に思う。

  その主張するところの当否はその次。まずは、重みのある言葉を投げかけてほしいと願う。

|

« Sさんの墓参りに | トップページ | 同窓会へ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 鳩山由紀夫元総理の「国民の皆さま」主義:

« Sさんの墓参りに | トップページ | 同窓会へ »