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2010年7月15日 (木)

鼻から胃カメラ

    月曜日の朝、会社の健康診断で胃カメラをのまざるを得なくなった。

    カメラなどというものは、胃の中に入れるものではない。

    入れるものではないものを、無理やり入れるのだからどうしたって、無理がある。

    井の中にガメラを押しこむくらい無理がある。

    無理が通れば道理が引っ込む。道理が引っ込むと、おえっと吐きそうになっちゃうのである。

    1ケ月ほど前、近所の蕎麦屋で、今回の検査を担当するN医師とばったり出会った。

「あ、先生、私、今度胃カメラ飲むから、よろしくお願いしますね。でも、もう、口から入れるのはやめます。オエッっと気持ち悪くなるので。鼻からのにします。経鼻ね、経鼻。で、お願いがあるんです。麻酔なんですけど、キツメにお願いできませんでしょうか。キツメね。麻酔増量ね。ケチケチしないでどーんと大盛りでお願いします!」
「ああ、分かった、分かった」

  嵐山CCのメンバーでハンディキャップが12のN医師は、太っ腹なところをみせてくれるのだった。

    お願いの効果があったのか、当日の朝、N医師は私の顔を見るなり、「分かってるよ、麻酔増量ね」といいながら、明らかに面倒なやつが来ちゃったな、という表情を浮かべるのだった。

    胃の中の泡を解消する、妙な味の液体を少量飲んだ後、鼻孔を拡げる点鼻薬を噴霧。しばらくしてから、前段の麻酔薬なのか、点鼻薬をシュッシュッと鼻の奥に自分で送り込むと、ベッドに横になる。次に、鼻の穴の奥に、柔らかいストローのようなものにゼリー状の麻酔をたっぷり塗ったものを突っ込むのである。

    先生はゴム手袋をし、「増量、増量」といいながらストローにゼリーを塗りたくっている。

「右の穴にする? 左の穴にする?」
「どっちでもいいっす」
「去年はどっちだっけ?」
「忘れました」

  去年の鼻の穴のことなんか覚えてるわけがない。

「じゃあ、通りがよさそうなので右の穴にしようか」

  先生はそういうと、ぬるぬるストローを右の鼻の穴の奥にまで、ずずずいと突っ込む。麻酔が効いていなければのけぞるに違いないが、先行の麻酔でボワーンとしびれているので、ストローは問題なく入っていく。

「では、しばらく、このまま横になっていてください」

   そう言って、先生は別室に行ってしまう。静かに横たわっていると、口に唾が溜まってくるので、ゴクと飲み込むのだが、それにつられて、なぜかストローが少し出てくる。おっと、いい子だからもう少し中に入っててね、と自分で押し込んだりしているうちに5分ほどが経過。先生が登場。

「さあ、では始めましょうか」

  妙ににこやかで嬉しそうなのが怖い。怖いけれど、ここまでくると、「鼻の穴からカメラを突っ込まれると自分はどうなるのだろうか?」といういささかマゾヒステッィクな興味も湧いてこないでもない。

  よし、今回はずっと目を開けていて、最初から最後まで全部見届けてやろう、と眼を見開く。右の鼻の穴にカメラが突っ込まれる。カメラと言ってもスタバのストローほどの太さで、以外にスムースに入っていく。

  カメラが捉える映像が目の前のモニターに映っている。まず、鼻の穴の入り口がうつり、あっという間に喉に達し、ここから食道へ。

「これが、食道ですね」

  そんなこと、いちいち説明してくれなくていいからさっさと胃に放り込んでちょうだいよ、と思うが先生はじっくり食道から胃の入り口へカメラを進める。

「さあ、胃の中に入ります」

  だからさあ、そんなこといちいち説明してくれなくていいんだってば・・・。

「ここが十二指腸ですね。うん、きれいですね。ここにイチゴみたいなものが見えますね。これは胃壁がきれいな証拠。いいですね。ちょっと、泡が多いのでちょっと吸い取りましょう」

   グイーンとカメラの先のストローが泡を吸い込んでいく。小さな掃除機のようなもんである。

「ここが胃の底です。胃の底から胃の入り口を見上げてみましょう。ほら、これが胃の入り口ですよ。ちょっと、胃をふくらませてみましょう」

   今度は、ブーっと空気が送り込まれ、お腹がすこしずつ膨らんでいく。

「経鼻のカメラは管が細いので、吸い取るのも空気を送り込むのも遅いんですよ」

   先生は説明好きである。今回は私も至って冷静で、ときどき画面を指さしながら「先生、これは何ですか? 問題ないですか?」と聞く余裕すらある。「じゃあ、終わりましょうか」と先生はフィニッシュに向かう。

    ビデオの逆回しのように、画面は胃の中から、食道、喉、鼻の穴が写り、最後に私の鼻の入り口が写る。「さあ、終わりです」と先生。

「おお、終わった終わった。あー気持ち悪かった」
  
    そう大声で感想を述べながら、病院の自動ドアを出て行く私なのだった。

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