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2010年11月 7日 (日)

「闇金ウシジマくん」全19巻を大人買い

   
    ひょんなことから「闇金ウシジマくん」全19巻を大人買い。毎晩、寝る前に一巻ずつ読んでいるのだが、これが、辛い。

  辛いのは、「読む行為」が、ではなくて「話の内容」が厳しくて辛いのである。

  この漫画は2004年から「ビッグコミックスピリッツ」に不定期連載されているもの。主人公は、完全に違法行為である、高利の闇の金融業を営むウシジマくんなのだが、かつて、「違法行為者」を主人公に据え、その名前をタイトルに冠したシリアスな漫画があっただろうか?

「辛さ」の理由は、出てくる人間出てくる人間、ほぼ例外なく、社会的弱者である、というところにある。登場人物はみんな、経済的に破綻し、文化資本的に劣位にあり、倫理的に崩壊している。

  全登場人物は、ウシジマくんを含めて、実生活では絶対的に出会いたくない人々である。イカレタ人々なのである。何かが壊れてしまった人々が次から次に登場する。つまり、感情移入すべき登場人物はただの一人もいない。寄り添って一喜一憂すべき人物がいないのである。

  そして、この漫画が発し続けるメッセージは「愚かな者は死ぬしかない」という、身も蓋もない、救いがたく殺伐としたものなのである。

  まるで、コロシアムで公開処刑を眺めているような気分である。

  読者をそのような気分にさせる力を、確かにこの漫画は保持しているが、それは周到な取材によってもたらされているということは、どの巻を読んでも分る。タクシードライバー篇にせよ、テレクラ篇にせよ、本当によく取材されている。そのリアリティが、読者の気分をどん底に突き落としてくれるのである。

  それはそうなのであるが、就寝前に、ナイトキャップとして読むには、あまりにも辛い・・・。

    そして最後にひとこと。このことは誰も言わないだろうから書いておきたい。漫画家・真鍋昌平の真骨頂は、そこから我々はついに抜け出すことができない、索漠として廃墟のような、絶望的な都会の風景を、細密に描き切っていることである。

    潤いのない、カサカサに乾いた我々の痛いほどの日常を、真鍋昌平は我々の眼前に突きつけることをやめようとはしない。

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