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2011年12月

2011年12月19日 (月)

うまいこと言うなあ

    月刊誌「WILL」の2月号(もう来年の2月号なんだ!)をパラパラ読んでいて、にんまりするコピーに出会ったので、忘れないうちに書いておきたい。

   ひとつはG・ボグダン氏(ルーマニア生まれのハンガリー人。東映アニメのプロデューサー)のエッセイ中にあった文句。

<EU、ユーロの行方を考えた時に、電気屋であった祖父の話を思い出した。祖父はユーロができた時に、「欧州の国々は電気のコンセントも統一できないのに、よく通貨を統一しようとするな」と話していた。>

  うまいこと言うね。ユーロ危機はこの一言に尽きると思う。それにしても、ユーロのスタート時に、ヨーロッパの人々はなぜ、ユーロがうまくいくと思ったんだろうか。

  たとえて言えば、香港、台湾、韓国、インドネシア、フィリピン、日本が共通通貨に踏み切るようなもので、どう考えたって無理だと思うのだが・・・。

  もうひとつ、にんまりしたのが、池田清彦氏(早稲田大学教授)のインタビュー記事。世界をあげての健康志向に、いかがなものかと異議を唱えておられるのだが、そのタイトルが、

    長生きは健康に悪い(笑)

  うまいこと言うなあ。

   追加で、もうひとつ。ツイッターを見ていたら「ふぐたますお」という人がこんなことを書いていた。

<ええ!金正日亡くなったのかい?この機会に土曜日を「正」曜日って呼ぶように変えたら一週間は月火水木金正日にならないかい?>

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2011年12月15日 (木)

笑っちゃうほど、分からない

 
   夜寝る前に、ベッドの中で本を読む。眠くなるまで読む。まあ、一種の睡眠薬のようなものだが、今、読んでいる本は、2ページも読まないうちに眠くなる。

  まるで気絶するように眠くなる。

  その本のタイトルは「フーコー」(河出文庫)。著者はジル・ドゥルーズ。ドゥルーズは1925年生まれのフランスの哲学者。70歳の時にアパルトマンから身を投げて自死している。

  その彼が、20世紀フランスを代表する知性の一人、ミッシェル・フーコー(1926-1984)について論じた本が「フーコー」である。

  これがもう笑っちゃうくらい、何が書いてあるか分からない。若いころは難解な本に出会うと、すごく腹が立って、ビリビリに破いて捨てたものだが、最近は、「よーし、どれくらい分からないか試してみよう」という遊び心が芽生えて、余裕をかまして読み進めるのだが、これが読めない。何しろ、眠くなっちゃうのだから。

   どのくらい分からないか、アトランダムに引用してみようか。

<しかし、フーコーにはもうちょっと安心させてくれる面もある。もし、言表が稀少であり、本質的に稀少であるなら、言表を生み出すために少しも独創性はいらないのだ。ある言表は、いつもこれに対応する空間に配分される特異性の放射、あるいは特異点の放射をあらわしている。こういった空間そのものの形成と変形は、創造、始まり、措定といった用語では、よく表現できないトポロジックな問題を提起する。>(P17-18)

  ね、笑っちゃうでしょ。何に笑っちゃうのかというと、ドゥルーズには、読者に理解してもらおうという気持ちはさらさらない、そのなさ加減に笑っちゃうのである。彼に限らず、フランスの知識人の書き物には、「分かる人だけ分かればよい。馬鹿は近寄るなでないぞ」という強烈な選別感がみなぎっているが、それはなぜなんだろうか?

  この途方もないエリート意識はどこから生まれるのだろうか。そのことに興味がわく。

  学生時代に、新潮社から刊行されたフーコーの「言葉と物」(結構高かった記憶がある)を買い、エンピツで線を引きながら読んだ記憶があるが、何が書いてあったかは全然、思い出せない。

  そういえば、今思い出したが、私はミッシェル・フーコーの講義を聴いたことがある。1975年だったと思う。サンミッシェルのソルボンヌ大学の廊下にある掲示板に、フーコーの特別講義がどこそこである、と掲出されていたのだ。

  おお、あのフーコーかあ、と思い野次馬気分で友人とふたりで、その教室に出かけた。教室は、サンデルの白熱教室のようなすり鉢状で、鉢の底の方で、黒っぽい服装の、ハゲのフーコーが話をしていた。
  
    何を話していたか? 何も覚えていない。日本語で講義がなされていたとしても多分、理解できなかったのではなかろうかと思う。ただ覚えているのは、この人が現代フランスを代表する知性の持ち主なのか、という畏怖するような気分になったことである。以来、フランス知識人には、なんともいえぬ畏怖を感じるようになってしまったのだが。

  

  

  

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